今,我が国は,そして世界でもヨーロッパやアジアなどの国々が,「かつて経験したことのない困難な人口減少社会」という深刻な課題に直面しています。
人口減少は京都にとっても非常に重大な問題ですが,「かつて経験したことのない」という点に関しては,京都は例外であります。京都は,明治維新で都の地位を失った際に,人口が3分の2に激減するという厳しい人口減少の危機に直面しました。その時に,私たちの先人は「まちづくりは人づくりから」と,全国に先駆けて番組小学校を創設され,市民ぐるみでの子どもの育成をはじめ,教育,産業振興,都市の活性化,文化振興,農業振興,女性の活躍促進など,今日の地方創生を先取りするような,50年後,100年後を見据えた先進的・挑戦的な取組を重ねました。そして,大きな危機を克服し,今日の京都の発展の礎を築かれたのです。
そして今日,京都市では,人口減少が国レベルで大きく取り上げられる以前から,市の基本計画である「はばたけ未来へ! 京プラン」の下,人口減少に挑戦し,独自の子育て支援や経済活性化・雇用創出をはじめ,多様かつきめ細やかな施策を進めてきました。さらに,京都から「東京一極集中」の打破に向けて,文化,景観,観光,ものづくり,大学のまちなど,京都の都市特性を活かした施策を積極的に展開し,首都圏と異なる価値観の魅力あるまちづくりを進めてきたところです。
こうした取組により,現時点の京都市の人口減少は「はばたけ未来へ! 京プラン」策定時の人口推計と比べて一定の歯止めがかかっています。しかし,依然として厳しい状況にあることには変わりがありません。引き続き市民の皆様と共に人口減少社会の課題解決に全力で挑むと同時に,国全体の地方創生実現のために京都ならではの役割を果たしてまいります。 |