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<レポート>(7/22)京都移住茶論イン東京(特別編)を開催しました!
2017.08.14
お知らせ
7月22日,ソーシャルビジネス企業として注目を浴びる「和える」と,京都移住を応援する団体「京都移住計画」,京都市ソーシャルイノベーション研究所「SILK」のコラボイベント「京都移住茶論イン東京(特別編)」を,目黒にある「和える」が展開する“0から6歳の伝統ブランドaeru”の東京直営店「aeru meguro」で開催しました!
京都は,aeruの京都直営店「aeru gojo」がオープンされるなど,実はソーシャルビジネスに取り組みやすい街。今回の京都移住茶論では,トークセッションを中心に,その理由を紐解き,京都に移住し,商いをするうえでのヒントを考えました。(写真提供:株式会社和える)
トークセッションは,京都移住計画の田村さんの進行で,「和える」の矢島社長と「aeru gojo」スタッフの中川さん,SILKの山中さんに御登壇いただきました。まずは,自己紹介。(プロフィールは記事の下を参照)
はじめに矢島社長から。「東京目黒と京都五条の2拠点で,東京の経済的な観点と京都の文化的な観点を和えながら事業を展開しています。京都の直営店から東京に帰るときに,大家さんに,『行ってらっしゃい!』と声をかけていただき,まるで実家から送り出されているような気持ちになり,暮らしの拠点が徐々に京都に移りつつあります。」とのこと。「2年半をかけて京都で出店させていただける場所を探しましたが,『移住』は地域の皆さんになじみ,一緒になってはじめて実現できると実感しています。また,幼少期から求めていた魅力的な田舎が,京都府北部の与謝野町にあると気づき,第3の拠点にさせていただければと考えております」と,京都を楽しんでおられる様子をご紹介いただきました。
続いて,中川さん。もともと,「働く」と「趣味」が一緒になる暮らしにあこがれがあったとのこと。「和えると出逢い,暮らしの中に『働く』があることを直感して,すぐに転職・移住を決めました。東京ではビルの30階で働いていましたが,今ではご近所さんとの挨拶と店先のお掃除で1日が始まります。」と京都であこがれの暮らしを実現されています。
最後に,SILKの山中さん。山中さんは,京都生まれの京都育ち。広告出版会社での企画職や,地域活性化のための対話の場づくりや住民参加型の区基本計画の策定などを行う「京都市まちづくりアドバイザー」を経て,現在は,SILKで社会的な課題をビジネスの手法で解決する「ソーシャルビジネス」を支援されています。
続いて「京都で働き暮らす魅力」キーワードで,トークセッションを行いました。
キーワード①「お茶文化」
「京都は,お茶やお花といった,一見高尚なお稽古ごとがごく身近にあることで,逆に文化を楽しむハードルが低いと感じています。」と中川さん。京都直営店「aeru gojo」があるご近所では,お茶会がよく開かれるそうです。矢島社長は,「近所の方々からお誘いいただき,暮らしの中に茶道が根付いていることを感じます。京都の子どもたちは,そうした大人を見て育つので,文化に対するハードルが低くなると感じています。」と。京都では千年を超えて培われてきた伝統の美意識や価値観を,大人も子どもも大切にされているように感じます。
キーワード②「地域との交流」
中川さんが,ご自身の体験から地域に入るコツを伝授。「知らないことを知っているふりをせずに,『教えてください。』と率直に尋ねることが大切。いろいろと教えてもらっているうちに,気がつけば溶け込み,馴染んでいるというのが実感です。」
矢島社長からは「京都に出店させていただくに当たり,京都の方に,和えるが京都で実現したいことをお伝えした上で,地図を広げて,どの地域がイメージに合うかを尋ねて回りました。いろんな方に地域を紹介してもらい,時間をかけて今の場所に出逢いました。また,オープン前には,大家さんが一緒に地域の皆さんへの挨拶周りをしてくださいましたし,挨拶先では,『ああ,聞いてるよ』と。京都の方々が,事前に『こういう子たちが来るからよろしく』と紹介してくださっていたのです。とても有り難いと感じました。京都にはこうした紹介文化があって,ビジネスも紹介によって展開していくことがある。一方で,紹介者の顔をつぶすことがないよう,背筋が伸びる思いもあって,ほどよい緊張感の中で仕事ができます。」と京都で商いを始めるヒントをご紹介いただきました。
そこで山中さん,「京都の方は,みんな京都が大好きなので『教えて』と尋ねられていやな顔をする人はいない。京都は閉鎖的というイメージがありますが,『懐に入っていくとやさしい』というのもよく聞きます。少し大きな田舎なんです。」
一方で,「もちろん,大都市なのでマンション住まいでプライベートを確保した都会的な生活も選択可能です。」と田村さん。
そこで中川さんから,「私の場合,自宅はマンションなので暮らしは都会的で,仕事は田舎的。組み合わせを選択できるところが京都のよさですね。」と京都の魅力を追加していただきました。
また,京都は自然とのバランスが絶妙で,「ビルの間から山が覗く,山に囲まれたコンパクトな街で,すぐに自然と触れ合えることも京都の長所です。京都は,都市と田舎が程よく和えられている街だと感じます。(矢島社長)」
「私は,街中から車で30分ほどの所に農園を借りて,野菜づくりを楽しんでいます。(山中さん)」
というお話もいただきました。
キーワード③「伝統と革新」
矢島社長から「京都の方は,実は最先端が大好き。新しいもの,よそ者を排除せず,一緒になって伝統を積み上げられています。しかし,イノベーションを起こしつつも,核心部分は変えずに大切にされている印象です。それは,しっかりと蓄積をされているからこそできることだと感じます。例えば,『aeru gojo』の斜向いにある明治26年創業の京菓子司『末富』さんでは,洋菓子にも挑戦されていますが,京菓子の核の部分は大切に,うまく和えて新しいものを生み出されていらっしゃいます。いつも,たくさんのことを学ばせていただいております。」
この矢島社長のお話に,「そうそう」と山中さん。「私が桶づくりを習っている桶屋さんは,その技術でギターを制作されています。時間をかけて研究されて,最近良いものができるように。しかし,特別に宣伝するようなことはありません。良いものなら自然と売れるだろうと。京都では,例え新しい試みであっても『くだらないもの』を提供したくないという強い信念があるのです。」と。
「かつて,上方から関東に送られる清酒(伏見や灘が本場)を『下りもの』と言いったとも。逆に良くないものは『下らない』と言います。(田村さん)」
「ほんまもん」を世に送り出す京都。そのために伝統に新味を加えて革新する。そうして培われた「ほんまもん」は,しかし,ことさらに宣伝されない。良さを感じとる楽しみはユーザー側に託されているのですね。
トークの最後に,ご来場いただいた皆さんにエール
矢島社長と中川さんから,「移住には,ご縁に引き込まれるタイミングが大切。皆さんと京都で暮らせる日を楽しみにしています!『aeru gojo』にも是非!」
山中さんから,「京都で暮らす魅力は年中行事がたくさんあって,季節の行事を楽しみながら時間を過ごせることです。京都で暮らすとたくさんの年中行事を味わうことができます!」
とエールをいただきました。
その後,「京都と私を“和える”と、どんな暮らし方・働き方ができそうですか?」をテーマに,約20分間,ご来場の皆さん同士で,トークの感想やイメージできた「京都で働く,暮らす」を意見交換していただきました。はじめてお越しいただいた方も多かったのですが,とても会話が弾み,時間が足りないくらい。
ゲストのリアルな京都暮らしのトークから,「京都への移住のイメージが具体的になった」「自分の生き方を考えるよい機会になった」などなど,たくさんの声いただきました!中には,何名か,ゲストと京都で会う約束を取り付けた方も!
また,こうした企画を実施予定です。今回来れなかった方々も,次回開催をお楽しみに!
【トークセッション登壇者プロフィール】
矢島里佳(株式会社和える 代表取締役)
1988年7月24日 東京都生まれ。職人と伝統の魅力に惹かれ、19歳の頃か
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中川真由(株式会社和える京都直営店「aeru gojo」ホストシスター)
1988年兵庫県生まれ。大学卒業後、日用品メーカーに
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山中 はるな(京都市ソーシャルイノベーション研究所 イノベーション・コーディネーター)
広告出版会社での企画職を経て、2009年から京都市ま
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田村篤史(京都移住計画 代表)
1984年 京都生まれ。立命館大学在学中、APUへ交換留学、NP